そもそも著者の玉川さんの出会いは、
ネクストサービス株式会社の松尾昭仁さんの出版スクールでした。

玉川さんはそのスクールの生徒さんの一人で、
出版を目指されていました。

私はそのスクールで売れる著者に必要な条件というテーマで講義を行っています。
また出版企画のプレゼンの審査員も務めています。


玉川さんは私が講義を担当したときには欠席されていたのですが、
録画されていた講義の映像を何度もくり返し見て、
最終日のプレゼンに挑んでくれました。


そんな玉川さんの面白いところは、
まずなんといっても肩書です。


「元自衛隊の臨床心理士」


こんな肩書を持っている臨床心理士は
探そうと思ってもなかなかいません。


日本一過酷な職業で、
自殺率も日本一(平均自殺率の約2倍)を誇る「自衛隊」に所属し、
当時の防衛政務官、岸信夫氏(安倍晋三氏の実弟)に直接お会いし、
自殺予防に関する任務を拝命した
現場で初の女性臨床心理士です。


特技はほふく前進で、4種類を使い分けられるという彼女ですが、
本当に過酷な現場を自身も隊員として過ごした経験から、
「本当に人を救うためには、決して甘い言葉が必要なのではない」
ということを痛感したといいます。


彼女自身がこれまでDVやうつ病、離婚や結婚詐欺などに遭い、
何度もつらい思いをして、他人にすがり、
甘い言葉、つまり「癒し」を求めてきたといいます。


でも、「癒し」を求めれば求めるほど
決して問題は解決しないということに気づきました。

なぜなら、「癒し」を求める行為とは、
人に痛みを共有してもらい、人にすがる行為であって、
決して自分が解決策を立てて問題に立ち向かう行為ではないからです。


彼女は言いました。


つらいときほど、癒しを求めてはいけない!


と。


その言葉を聞いて、この人の本を作るべきだ、
そしてこれを「切り口」にすることで、
メッセージが新しいものになる、
その手ごたえを感じたのです。


本当につらいことや、
自分が抱える悩み、問題というのは、
逃げていては解決できません。むしろ増幅するものです。
他人に依存していても、
その一瞬は癒されても、根本的な解決にはならないのです。


でも、実際には多くの人たちが、
さまざまな形で「癒し」を提供することを、
声高らかに発信しているのが今の現状です。


以前から、そこに多少なりの違和感を覚えていました。


これまで「他者思考から自分思考」という同様のメッセージは
別の書籍のなかで書かれることがありましたが、
それはどちらかというと、
「癒し」を得るための方法としてあったように思います。


本書では「癒しを捨てること」から悩みの解決は始まるのだと、
話を展開しています。


癒しを求めることが、
悩みを深くしている根源であり、
自分と向き合って、どん底を体験するからこそ、
「他者思考」を捨てることができ、
「自分思考」に自然となっていくのだと。


つまり本書の切り口としては、
「癒し」を捨てる本、ということでした。

ラクに問題解決しようという幻想をそろそろやめて、
大変だけど本気で解決していきましょうよ、
としたところにあります。

癒し、という言葉が飽和しているからこそ、
成り立つメッセージです。
(もちろん、著者が本当にそれを体現しているのが絶対条件です)

もうひとつ、
本書には他の本と異なる見せ方を工夫した点があります。

それは次回にお伝えしたいと思います。







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(著者の玉川さん)