前回の続きです。

3回も記事を書いてしまいました、この「もう、「あの人」のことで悩むのはやめる」
という本には他の本と異なる見せ方を工夫した点があります。


それが、

ほとんどの悩みは「特定の他者」によって生まれている

と悩みを定義づけしたことです。


余談ですが私は「定義づけ」は本づくりでは最も大事な作業のひとつだと思っています。

私たちはいろいろなことで悩み、
つらい思いを抱きますが、
個々の悩みは決してそれぞれの原因があるわけではありません。
 
原因はたった一つしかなく、
それがたった一人の「特定の他者」の存在だと定義したのです。

たとえば職場での上司や同僚、
家族であれば夫との関係など、
必ず大きな悩みの根源となる、
当事者にとっての「あの人」がいるはずです。

つまり、今回の本の切り口には、
次の二つがあります。


①すべての悩みはたった一人の「特定の他者」=「あの人」によって生まれる
②癒しを求めるほど、その悩みは深くなる。まずは癒しを捨てることから始まる


これがあるからこそ、
「他者思考をやめて自分思考になりなさい」
というメッセージが、より「いま」の自分に必要なものとして、
訴えてくるようになっています。


最初に玉川さんからいただいた企画では、
「他者思考」「自分思考」というキーワードしかありませんでした。


簡単に本を作ろうとすると、
ついついこの二つのキーワードだけで本を作ってしまいます。
実際にそういう編集者のほうが多いでしょう。
でも、そこで

「本当にそれだけでいいのか?」
「すでに使われているメッセージだよな?」

と自分に言い聞かせて、
切り口に新しさを出さなければ、
本を出す意味もなければ、
読者に手に取ってもらうこともできません。
それこそが「いい編集者」の仕事だと思っています。

そうして、冒頭の玉川さんとのやりとりを経て、
「癒しの拒絶」「特定の他者=あの人」
という二つのオリジナリティのある切り口を見つけました。


極端にいえば、
本書のように類書の多いジャンルでは、
この「明確な切り口」さえ見つけ出せれば、
それだけで価値ある内容へと昇華させることができるのです。

この一冊は昨年自分が作った中でもかなり思い入れのある一冊となりました、
これからも売れるよう努力していきたいと思います。
ぜひ見かけたらお手に取ってみてください。







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玉川さんと一緒にナイツさんのラジオ番組(「ナイツのちゃきちゃき大放送」)の収録に行った時の一枚です。
一番右が私です…左がTBSの出水アナです。
玉川さんがロックバンドのボーカルみたい、という話題で盛り上がりました。