今日は出版社の就職活動における
「情熱問題」について書きたいと思います。

就職活動をするにあたり、
どんな心構えでいるかは、
就職活動のモチベーションに関わり、
全体のパフォーマンスや結果を大きく作用する要因となってきます。

どんなに高い志を持っていたとしても、
その向き合い方を間違えてしまうと、
就職活動というものはうまくいきません。

その一つの象徴的な事象として、
よく議論されるのが、
冒頭の「情熱問題」と言えるでしょう。


情熱問題というのは、
エントリーシートや面接において、
どこまで自分の情熱を見せていいのか、
また、どのくらい情熱は伝えるべきなのか、という問題です。


たとえば、
エントリーシートで枠外にまで自分が出版社に行きたい、
という気持ちを伝える。

たとえば、
面接で要求されてないのに
特技を披露しはじめる。


こんな話はよく就活の都市伝説として耳に入りますが、
本当に効果があるのか、ということです。


ちなみに、
以前ほかの出版社の人事の方など、
採用に携わる方に話を聞いたところ、
こういった方は実際に一定数いるようです。


では、この行為はプラスになるのか??


プラスになるなら、
もちろんやらない手はありません。
でも、悪目立ちするかもしれない・・・。

 
ですが、結果から言うと、
「プラスにならない」のです。


これは私だけの見解ではなく、
他社の方も言っているので、
ほぼ間違いないでしょう。


ただ、厳密に言うなら、
一概には言えない、
という回答が多いのも確かです。

その気持ちは私もわかります。

たとえば、
情熱を出そうと前に出すぎるのは、
面接では困ってしまうけど、
見るだけのエントリーシートなら、
そこまで気にならない、
という違いがあったりするからです。


逆に、
エントリーシートで余白が目立つような、
ちょっとやる気がなさそうなのは
ほぼ落とされますが、
面接ではその人の性格や雰囲気を見ているため、
言葉少なでもあまり気にならない、
ということもあります。


ここをよく理解しておくべきなのです。


なぜなら多くの学生が、
エントリーシートにはほかの人ほど情熱を注いで作らず、
面接で情熱をアピールしようと考えがちだからです。


でもそうではない。
実際にやるべきなのは、
まったく逆なのです。


エントリーシートにこそ情熱を注ぎ、
面接では節度を持ってやりすぎない。


それくらいがベストのバランスと言えるでしょう。


もちろん、エントリーシートといえど、
やりすぎがNGであることに変わりありません。


規定の範囲の中で、
時間と労力をかけているとわかるようなものをちゃんと書く、
それがエントリーシートでの情熱の見せ方なのです。


面接で情熱をアピールしすぎないほうがいいと私が考えるのには、
もう一つ理由があります。


私は学生にアドバイスする際に、


「私はやる気があります」
「本が好きです」


といったことを言わないように、
と伝えています。


そういうやる気のアピールはたいして意味がないからです。


なぜだかわかるでしょうか??


理由は極めて簡単です。
なぜなら出版業界というのは、ほかの業界に比べて、
「本当にその職業に就きたい」という思いで受けている人が圧倒的に多いからです。


つまり、


やる気があるのは当たり前、
本が好きなのは当たり前なのです。


だからそれをいくらアピールしたところで、
「ふつう」でしかないのです。


極端にいうと、
「私はふつうです!」
とことさらアピールしているようなもの。


面接で「私はふつうです!」と言ったところで何も意味はない、
それくらいに思って臨まないと出版社では通用しません。
逆に、


やる気があるのは当たり前、
本が好きなのは当たり前、


そういった気持ちで受けている人は違って見えます。
ですから、やる気をアピールするときは、
「やる気があるのは当たり前」
という前提のもと、

やる気がなければ決してできないこと
やる気がある人でなければ宣言できないこと


これらを伝えることが大切なのです。


では、ちょっと具体例を出して比較してみましょう。

ただ「やる気がある」とアピールしている人と、
やる気があるのは前提ととらえている人の
ニュアンスの違いを分かっていただければと思います。


たとえば、


面接官に次のように言われたとします。


面接官
「きみは編集志望だけど、編集の仕事は過酷だし休日もないよ。
それに営業に配属されるかもしれないけどいいの?」


その答えとして、
次の二つを比べてみてください。

(1)
「はい、もちろん大丈夫です。本は好きですし、やる気も人一倍あります。
だから耐えられる自信はありますし、それは営業に配属されても同じです」
 
(2)
「私は編集者になるからにはベストセラーを目指し、
ビジネス書で一番売れる本を作りたいと思っています。
そのためなら営業に回ったとしても
営業の仕事でも一番になって、その経験を活かし編集の仕事を
とことん突き詰めたいと思っています」

さて、いかがでしょうか。
分量がちょっと違うのでずるい気もしますが、
もちろん(2)のように言えたほうが
印象は圧倒的にいいわけです。

ただやる気をアピールするのは、
非常に抽象的で中身がなく、
しかもそれは誰だって同じ。


でも、やる気がある前提で、
だからこそどうしたいのか、
だからこそ何が宣言できるのか、
そこまで触れられれば自然と話も具体的に、
説得力のあるものになってきます。


ちなみに上記の例は、
「編集志望が営業でもいいかと聞かれたら?」
という問題に関わる重要な話なので、
また別途いたしましょう。
(そのためにさっきの例は、ちょっと簡略化して書きました)


とにかく、やる気があることをアピールする人は、
ほぼ、うまくいきません。


やる気があるのは当たり前。
それを踏まえて、その一歩上に目標や視線を置いて
イメージを具現化し、話ができなければ、
少なくとも編集者として選ばれる人にはなりません。


自分の情熱があるのは結構です。
出版や編集ということに対して、
やる気があるのは、なんてすばらしいことかと、
私は心から思っています。

でも、その伝え方、
情熱の向け方を間違えると、
それは独りよがりのものになります。


自分の情熱が独りよがりになっていないか、ちゃんと向き合うこと、
それが出版社の就職活動における、
「情熱問題」の一つの答えといえるでしょう。 

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