出版社の就職活動について、
今回はこちらのテーマについて書こうと思います。


大手三社と中小出版社について


です。


大手三社といえば、
集英社・小学館・講談社のことですね。


それ以外は、ほぼ「中小出版社」といって差し支えありません。


いまでは合併した
KADOKAWA、学研ホールディングス
なども「大手」と呼んで差し支えないかもしれませんが、
従業員数1000人規模で
長らく「大手」と言われていたのは、
この三社になります。


就職活動をしていると、
この大手三社と中小出版社をしっかり、
分けて考えることができるかどうか、
とりわけ、絶対に出版社に行きたいと思う人であれば、
いかに中小出版社について把握しているか、
そこで成否が分かれてきます。


ではどのような点が異なるのか、
次のようなものがあげられます。


1.時期
2.採用人数
3.受験する学生の質
4.選考基準、ならびに合格する人の特徴
5.選考試験(と対策)
6.実際の職場環境
7.待遇


もちろん、細かく上げていけば、
大手三社と中小出版社の違いというのはたくさんありますが、
今回は「出版社の就職活動」という視点から、
独断と偏見でピックアップいたしました。


以下、順に解説していきたいと思います。


1.時期について


以前も書いたので、
ここでは簡単に触れる程度にしますが、
大手三社は出版社のなかでも、
最も早い段階に採用が始まります。

今年でいえば、
出版社は3月1日に開始されましたが、
事前に情報が公開になったりしていましたもんね。


大手出版社の選考が始まった後に、
中小出版社が少しずつ続いていきます。


その理由としては、
大手出版社より早く内定を出したところで、
そのあとに大手出版社から内定が出た学生は、
ほぼ100%そちらに行くと考えられるからです。


はやく採用を開始してもあまり意味がない、
どころか、いい人材がいても大手に取られる可能性があり、
不確定要素が増えるため、
むしろよくないことのほうが多いのです。


実際、出版社志望の学生なら、
ほとんどが大手三社が第一志望になるでしょうし、
逆に大手三社が第一志望でないという学生は、
私としては「なんで?」と感じてしまいます。
(もちろん、業界にいる今はそうではありませんが)


2.採用人数


大手出版社はおよそ15~20人の採用人数。
中小出版社は多少幅がありますが、
ほとんどが1名~若干名(2~4名)。
ごく少数ですが、10人を超える採用をする会社もありますが、
そういう出版社は専門性の高い出版社といえます。
たとえば私の同期でいうならば、
中央経済社など、採用人数が多かった会社といえます。


ですから、倍率でいうと、
大手三社が決して高いわけではありません。
もちろん100倍以上の倍率にはなりますが、
中小は300倍とか、500倍とかそういった倍率が当たり前ですので、
そういった意味では大手三社だからといって、
物怖じする必要はありません。


3.受験する学生の質


とはいえ、
出版社志望の学生にとって、
大手三社が「最難関」なのは間違いありません。

なぜ「学生にとって」ではなく、
あえて「出版社志望の学生にとって」と書いたのか、
それには理由があります。
それは受験する学生の質が、
大手三社と中小出版社では大きく異なるからです。

そしてそれが、
出版社志望の学生にとっては、
大手三社の採用を難しくしている要因でもあります。

というのも、
狭き門と言われる出版業界において、
出版社志望ではない学生が、
一番内定をもらいやすい出版社が、
この大手三社と言えるからです。


もちろん、これは私の見解でしかありませんが、
実際、金融や商社を受けている人が、
人気のメディア業界も記念に受けてみたところ、
小学館から内定もらった、
なんて話は実はよく聞く話なのです。

なぜそんなことが起こるのか、
今回の記事ではここが知っておくべき、
最大のポイントです。


4.選考基準、ならびに合格する人の特徴


それは大手三社と中小出版社の採用基準や採用事情とも関連してくる話です。
大手三社と中小出版社では、
出版業界の会社として共通する採用基準もあれば、
まったくことなる部分もあります。

そのひとつが、
先ほど触れた採用人数です。

大手三社では十数人の学生を採用します。
一方、中小出版社では若干名。

若干名しか採用しない中小出版社にとって、
採用する人材に失敗は許されません。


採用したものの、
じつは出版社にはあまり興味がないとか、
本がべつに好きじゃない、なんてことになると、
会社としては致命的な問題なわけです。

また、まじめでなかったり、
人とコミュニケーションができなかったり、
約束を守れなかったり、など、
社会人としての基本的資質がない人を採用しても、
大変なことになるわけです。

だから、

中小出版社は冒険ができないのです!
確実に戦力になり、
会社とともに成長してくれると感じる学生を選ばざるえを得ません。


「アイデアや発想は面白いけれど、まじめさや情熱がない人」と、
「アイデアや発想は普通だけど、勤勉で熱意が感じられる人」であれば、
おそらく後者の人物のほうが優先されます。

(ただ、そこは志望学生の多い出版業界ですから、
「アイデアや発想は面白く、勤勉で熱意が感じられる人」
くらいでなければ基本的に内定はもらえないのですが…)


つまり、実は採用をしていて時々出会ってしまうのですが、
「アイデアや発想がすば抜けて面白いけど、まじめさや情熱がない人」
が採用されることは残念ながらないということです。


一方、大手出版社は採用が十数名です。
そうなると、
人としてちょっと問題があっても、アイデアがずば抜けて面白い人がいた場合、
その人材を採用する余裕があるわけです。


むしろ、1000人もの従業員がいますから、
たんに「まじめで優秀」な人よりも、
そういった人材をより求めている可能性もあるわけです。


大手出版社はどこも雑誌を持っています。
雑誌は特にアイデアや発想、スピード感などが
重要なファクターとなってきます。


そういった時代を切り開く仕事は、
尖った考え方や発想を持っている人のほうが、
うまくいく場合が多々あるということ。


もちろん、
「アイデアや発想は面白く、勤勉で熱意が感じられる人」
を採用したいという気持ちもありますが、
それは十数人のうち、
いくらかを割けば十分なわけです。


大手出版社の面接官からすると、
出版社志望の画一的な学生に比べて、
出版社志望ではない学生が面接に来ると浮き出て見えます。

誤解してほしくないのは、
出版社志望でない人が有利、
という話をしているわけではないのです。

ただ、大手出版社については、
出版社志望の人が不利である、とは考えています。


いや、正直申し上げるなら、
ちょっと衝撃的な話かもしれませんが…

本気で出版社志望の学生は、まず大手三社には受からない。

そう思っています。



もちろん、そこには明確な理由があります。

理由の一つのは「緊張」です。

先ほども触れたように、
出版社を目指す学生の第一志望は
ほぼ間違いなく大手三社になるはずです。


規模が大きく、
雑誌も書籍も扱う総合出版社で、
待遇も中小出版社よりいい。


それだけを見ると、
自由度も待遇もいい大手三社を志望しない理由がありません。


そんな第一志望が大手三社の学生にとって難しいのが、
その大手三社が「最初」にあるという事情です。


つまり、出版社の就職活動というのは、
まず最初に「第一志望」から始まる就職活動、
という点に難しさがあるのです。


エントリーシートも困難で、
試験も困難。


そんな企業といきなり向き合うことになるのです。
しかも、出版業界自体、
通常の企業に比べて採用時期は早いため、
ほかの企業で「練習」することもできません。


出版業界より早い業界といえば、
外資系企業とテレビ関係くらいです。


もちろん、どちらも簡単な業界ではありません。


うまく面接まで進んだとしても
数回くらいしか経験を積めないでしょう。

面接に慣れる時間もなく第一志望の会社が始まってしまい、
慣れないなか手探りで対応するため、だいたいが失敗してしまう…
それが出版社の大手三社の現実です。


もちろん、私もそうでした。

ちなみに私は講談社が第一志望でした。
集英社や小学館も受けましたが、
一番進んだのは幸いにも講談社。

でも、結局落ちました。
私はテレビでも面接までは行きましたし、
出版社に関しても、
大手三社より早い中小企業はすべて受けていたので、
少なくともほかの出版志望の学生よりは
面接の経験など積んでいたと思います。


それでも、面接ではものすごく緊張しました。


第一志望は絶対に落ちたくない!!


そんな気持ちが沸いては消えず、
余計な気を張って、
面接官にとにかく好かれようとしました。

でも、それが間違いでした。
また別の記事で書きますが、
面接で大切なのはコミュニケーションです。
それができませんでした。


一方、先ほど述べた
「出版志望じゃないけど受けている人」
に目を向けましょう。


たとえば練習で受けている人がいるとします。
その人は練習なので
必要以上に緊張することはありません。


みなさんも経験すればわかりますが、
練習だと思って受けた(落ちてもいいやと思っている)企業では、
さぼど緊張はしません。


そんな気持ちで受けているからか、
面接でわりと饒舌に話をすることができて、
気付いたら内定をもらう、
なんてことがよくあるのです。


もちろん、そううまくいくとは限りませんが、
ガチガチになっている大多数の出版志望学生の中で、
気楽に話をしてくる学生がいたらとても目立つこととなり、
それがプラスに評価されるような業界なわけです。

だから、出版志望の学生にとっては最難関である大手三社に、
出版志望じゃない人がさらっと内定をもらっていく、
そんな現象が起こっていたのです。


ちなみに、私が就職活動をしているとき、
「絶対に講談社に行きたい!」
と言いながら、
「集英社や小学館は?」
と聞いたら
「えっ、なにそれ?」
と答える人が普通にいたりして驚きました。


また、大手三社では特にコミック志望が多いわけですが、
「ジャンプに行きたい」
と言っている学生に、
「マガジンやサンデーは?」
と聞いたところ
「えっ、なにそれ?」
と言われたこともあります。


それくらいのレベルの人が受けてるのが、
大手三社なんです!!!!


出版業界を本当に目指している人からすると、信じがたい人かもしれませんが、
それくらいの人のほうが気負わず、自由に強烈に自己アピールしてくる、
だから強敵なわけです。

そういう人が出版志望の人では言わないような、
ユニークなことを言ってきます。
それが歓迎されるなかで、
悲しいけれど正攻法でその人たちに勝っていくのは難しい。


だから私はよく学生に言うのです。


本気で出版社志望の学生は大手三社には受からないよ、と。


もちろんそれがすべてではありません。
実際、私が数年前に一度だけ就活指導の機会を頂戴したことがあったのですが、
そのときに一人だけちゃんと指導した学生は、小学館で採用されました。


出版社の就職活動について理解さえしていれば、
大手三社でも、もちろん対応できます。
ただ、それは通常、なかなか学生だけではわからない部分であり、
そうなると大手三社は難しいのです。


ちょっと話はそれますが、
大手出版社になるほど、
コネも存在しますし、
学閥の有利もあります。


体育会系が有利だったりしますし、
その会社でインターンやアルバイトをしている学生が
有利に働いたりもします。
(ここにコネや学閥が絡んでいることも)


それらを含めて十数名と考えると、
やはり大手出版社も可能性は若干名くらいかな、
という感じになるのでしょうね。


5.選考試験(と対策)
6.実際の職場環境
7.待遇


も違いとして挙げましたが、
これはまた別途、触れていきましょう。


とにかく


本気で出版社志望の学生は大手三社には受からない。


ということを胸に抱くくらいのつもりで
受けてもらうと逆にいいのかなと思います。

また、これは慰めでもなんでもなく、
私は第一志望の講談社に行かなくてよかった、
と思っています。


私は結果的に雑誌ではなく書籍を選び、
今の会社にいますが、
どうしても編集者になりたい人にとって、
総合出版社に行くのか多少なりリスクがあります。


それは初年度から編集者になれるわけではないからです。


好きな部署となるとなおさらです。
でも、中小出版社は、
比較的高い確率で希望を汲んでもらえます。


また、書籍の編集者の場合は
より自分の担当した本に対して意見を言いやすかったり、
企画そのものにも責任を持たせてもらえることが多い。


自由と責任が大きい分、
単純にやりがいが違うし、
経験としては大きなものがあります。


その意味で、大手出版社が第一志望でも、
そこに落ちても私は何の問題もないと思います。


むしろそこで足りない部分に気づいて、
中小出版社に向けて舵を切ってからが本当のスタートなのです。

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