今回お伝えする本づくりの裏側は、
前回の記事でお伝えした、
6月6日に配本されたばかりの
『女の運命は髪で変わる』(佐藤友美)
という本です。



著者の佐藤友美さんは
日本初、かつ唯一のヘアライターとして15年以上、
ファッション誌やヘアカタログで活躍してきた人です。

佐藤友美
日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。
1976年、北海道生まれ。15年の間にファッション誌やヘアカタログの「髪を変えて変身する企画」で撮影したスタイル数は4万人ぶん(約200万カット)を超える。
「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、セミナーや講演を聞いた美容師はのべ2万人を超え、これは全国の美容師の20人に1人の割合にあたる。
日本最大のヘアスタイルフォトコンテストの審査員をはじめ、40代からのヘアスタイル&ヘアケア情報サイト「ユニークピース」の編集長、美容院へのカウンセリングコーチ、ヘアケア製品やスタイリング剤の商品開発アドバイザーなどもつとめ、美容業界での活動は多岐にわたる。
近年は女性向けのヘアスタイルアドバイス、その人にマッチする美容院の紹介なども手がけ、高い満足度を得ている。 

私はこれまでさまざまなジャンルの本を手掛けてきましたが、
闘病ものではない、王道の「女性エッセイ」を手掛けるのは実は初めての経験でした。

そんななかで今回の本づくりのポイントや裏側、
そのストーリーについて知っていただくことで、
もっともっとこの本を楽しんでもらえたらうれしいなと思います。

今回のポイント、
特筆すべきは次の4つです。

①読者対象にとことんこだわる

➁日本で初めて「髪」をテーマにした女性エッセイ

③著者の立ち位置

④写真は使わない

では具体的には、
上記の四つのどういった点がポイントになっているのか。
触れていきたいと思います。

①読者対象にとことんこだわる
 
本作りにおいて、読者対象を設定することは、
基本中の基本です。

もちろん、どの本でもやっていることではありますが、
その設定ができていない本は必ず「曖昧」な本になってしまいます。
本作りを始める前、
企画段階から読者対象を明確にできていない本は、
その時点で失敗している、と言っても過言ではありません。
ただし、プロの編集者でもつい見失いがちになるのが、
この読者対象だったりもします。

なぜかというと、
本作りの過程において、
ついつい読者対象と内容が
逸れていってしまうことがあるからです。
わかりやすい読者対象であればいいのですが、
細かく設定すればするほど、
作り手は読者対象を忘れがちになります。

たとえば、営業本を作ったとしましょう。
読者対象は当然、「営業マン」となります。
一見、読者対象が明確なパターンです。

でも、果たしてこれでいいのか?

それを考え抜くところに、
編集者や著者さんの力量が試されるポイントがあります。
 
なぜなら、「営業マン」といっても世の中には
いろんなタイプの営業マンがいるからです。
(当たり前のことのようですが、これ、重要です。)

いろんなタイプの営業マンがいるということは、
いろんなタイプの悩みや願いが存在するということです。
ですので、「成果を挙げたい」営業マンに向けて成功法則を語るのか、
はたまた「認められたい」営業マンに向けて成功法則を語るのか、
似ているようであって、
微妙に伝えるべき内容は変わってきます。

さらに「成果を挙げたい」営業マン向けにしても
「スムーズに話ができるようになって」成果を挙げるのか、 
「言葉に説得力をつけて」成果を挙げるのか、
「法人のお客さんに気に入られて」成果を挙げるのか、
メインにする方法によっても、伝えるべき内容が変わってきます。

読者対象というのは、
テーマが明確であればあるほど細かくなっていくものであり、
そして細かくなればなるほど伝えるべきメッセージも研ぎ澄まされていくのです。

逆にいうと、
伝えるべきメッセージとちょっとでもずれた読者を想定すると、
本が完成したときに、統一感を欠く部分が出てきます。
そうなると、読者としても面白みが減ってしまうわけです。


と、前置きが長くなりましたが、
本書で読者対象に特に気をつけていたのは、
女性エッセイでありながら、読者対象を、

・髪に悩んでいた時期もあったけど、もう、あきらめてしまった女性
・キラキラした女性エッセイには気後れしてしまう女性

という、通常ではありえない読者設定をしたからです。

女性エッセイを買う一般的な読者といえば、
「自分をもっと輝かせたい」「きれいになりたい」
など、どちらかというとポジティブで積極的な方が多い。
でも今回は、
そんな本は自分とは関係ない、
自分はもう手遅れだし
、と思っているような、
ネガティブ、消極的な読者に向けてつくっているのです。

「髪」というのは、
服やメイクと異なり、かなり「パーソナル」な要素です。
髪が整っているか、整っていないか、
それはそのまま自分の自信(自己肯定感)につながっています。

だから
髪がうまく整わない日はなんとなく気分が上がらないし、
髪がばっちり決まっているときはとても気分が上向くものなのです。
他人から見ても、
髪の毛に色つやがなく、ぼさぼさの女の人はどこか自信がなさそうで、
キャッチセールスにも合いやすく仕事もできなさそう…
と思われがちです。

だから本書では、

ダメだと思っているあなたこそ、
一度髪(自分)をあきらめたあなたにこそ、
読んでほしいし、間違いなく人生は変わるんだよ、


ということを伝えたかったのです。


➁日本で初めて「髪」をテーマにした女性エッセイ
③著者の立ち位置
について

本書の最大のアピールポイントのひとつは、
日本で初めて「髪」をテーマにした女性エッセイ、
ということです。

近年活況を見せている女性エッセイ市場ですが、
服やメイクをテーマにしたものはたくさんありますが、
「髪」をテーマにしたものはありませんでした。

なので、
どのように表現するのが
読者にとって、一番「髪」のインパクトをわかってもらい、
かんたんに自分が変わると実感できるのか、

といったことをトコトン考えました。

髪について書いた一冊目になるということは、
参考にできる本がないということ、
どの読者にとっても、
この本が、「最初に読む髪の本」となります。
日本初というのが、アピールポイントでもあり、
一方で本づくりにおいては、
暗闇の中で模索するような作業にもなるわけです。


本書も一度、方向性を誤って進めてしまった場面もありましたが、
幸運なことに、著者の佐藤友美さんから「やっぱり違うんじゃないか」
というご意見ももらい、修正することができました。

長くなりますが、どう方向性を間違えたのかというと、
わかりやすいノウハウやテクニックに固執してしまった、ということです。

けれど、この本の言わんとすることは、

そもそも、女の運命は服でもメイクでもなく「髪」である!

そのこと自体が大きなインパクトがある新しいメッセージであり、
本書を貫く具体的なテーマです。
そのインパクトが最大限伝わる構成・メッセージにしなければいけない、
それを踏まえて今回の構成に行きついたわけです。

ちなみに前回の記事で、
佐藤友美さんと深夜の3時にやりとりをしていた、
というのはまさにこの部分です。


本書ならではの「髪」に対するアプローチの方法、
髪のエッセイという日本で初めての本だからこそ
伝えるべき深い知識やその表現レベルというものがあり、
その答えを導き出した瞬間でした。

ちなみに、この構成・メッセージに関わる話は
単に「初めての本」という要素だけではなく、
「著者の立場」という視点から迷いに迷って決定した部分でした。
というのも、通常、髪にまつわる本を出すといったら、
想像される著者は美容師さんです。
ノウハウも本来、髪を切る美容師が語るはずなのです。

でも佐藤友美さんの場合は、
美容師ではなく、ヘアライター。

でもだからこそ、
古今東西、全国の美容師さんのお話をそれこそ何百人と聴いてきて、
読者モデルが何度も雑誌の企画で変身している様子を見てきた人でもあります。

美容師さんが書く本であれば、
髪のテクニックについて、もう少し深入りしてもよかったかもしれません。

でも、佐藤友美さんが本を書き、語るという立場も考えると、
「髪ってこんなにすごいんだよ!」という
「髪の大切さ」についてちゃんと伝えたい!

私は純粋にそう思ったのです。

著者が持っている一番のコンテンツを、
これから出す市場や読者のことを合わせて考え、
一番伝わる形で表現する。

決して簡単にできることでも、毎回できることもありませんが、
今回ほど、それが一番ピッタリはまった本はないと思っています。

それがこの本の業界の方々からの高評価、
ならびに、読者からのすさまじいエネルギーを帯びた感想の数々に
繋がっているのだと思います。


④写真は使わない


本書に写真を使わないことは、最初に著者に確認をしたことでもありました。
「髪」を題材にし、ノウハウを紹介するとなると、
写真がほしくなるものです。
実際、ヘアカタログで写真がないということはありえません。

でも、今回はあえてそれをしませんでした。
なぜなら、写真を使うことによって、
ヘアカタログのイメージに近くなるからです。
つまり、実用書っぽくなるのを懸念したのです。

写真つきで髪のノウハウを書いた実用書となると、
その本を手に取るのは、
髪の毛をふだんから意識している読者となります。


おそらく、ふだん髪の毛に気を遣わなかったり、
自信を持っていなかったりする人は、
写真入りで、髪の扱いに対するノウハウが書かれた本を、
いきなり手に取りはしないでしょう。



写真を入れると「わかりやすくなる」というイメージを持ちがちですが、
それによって専門性が上がり、読者のレベルを上げることになってしまうのです。

ここで①ポイントの読者対象の話がでてきます。

本書の読者対象は女性エッセイや髪にもともと興味がある人、です。
でも実は本当に読んでほしいのは、

髪のことに時間をかけられない人、
髪のことをあきらめてしまった人、
髪がきっかけで自分に自信を持てない人、


そんな方なんです。

その人がちゃんと手に取って、
「これなら読めるかも、変われるかも」と思える内容にする、
それを強く意識しました。

悩みを強く抱えている人にこそ、
読んでほしかったのです。


だから、その水準にあわせて、
文字とイラストで語るような内容に仕上げました。


じつは私も髪ではさんざん悩み、
時間を費やしてきた一人の人間です。

学生時代から、本当に髪型ひとつで世界が変わるのを体験していました。

ひそかにヘアカタログを買い、
ワックスを買い、
同じようにしているはずなのに、
どうして同じような髪型にならないのか、
何度も試行錯誤しました。

当時は今よりはるかにクセっ毛で、
それにも悩まされました。

だから、
髪をあきらめる人の気持ちもわかるし、
雑誌の切り抜きを持って美容院に行くような、
一度は希望を持って頑張った気持ちもわかります。

もしもう一度、髪が変わるなら、
そして「ひそかに」読めるものがあるなら、
私は絶対にほしい!と思います。

今回の本の一番いいところは、
そんな人に届いてほしいという気持ち、情熱を、
私はもちろん、著者の佐藤友美さんも最後まで持ち続けて、
ターゲットに届くように何度も構成とメッセージを研ぎ澄まして
一冊にまとめたところにあります。

現在、本を読んだという読者から、
本当にたくさんの感想をいただいています。

何人もの人が「涙しました!」「この本のおかげで人生が変わりそうです」と言ってくれています。
そして「読んでる途中に美容院を予約しました」と実際に行動してくれています。

きっとそれは、
セオリー通りの女性エッセイの読者対象、
セオリー通りに髪に興味がある読者対象、
それを目指していただけでは実現しなかったことです。

この本にこれだけの力が宿っているのは、
きっとそんな本づくりの裏側があったからだろうと思います。

あなたの運命を変えてほしい、
ぜひ手に取っていただきたい一冊です!!
カフェと本➁