私たち編集者は日々コンテンツを
ゼロから生み出す仕事をしているわけですが、
コンテンツの見せ方が異なれば、
受け取る意味も変わってくるし、
どのように届けるか、という方法も変わってきます。

ネット作品と書籍ではそもそも「容器」が異なるため、
ネット作品をそのまま書籍化したからといって、
同じような面白さにはなりません。

書籍化する際には、
書籍に適したひと工夫が必要になります。
その点について知りたい方は、
上記の記事をご参照ください。

じつは前回の記事を書いたとき、
分量的にカットして掲載しなかったのですが、
ネット作品と書籍化の違いを、
「お笑い」を例に説明していたので、
ここで補足としてお伝えしたいと思います。


そもそも、ネット作品と書籍ではどのように異なるのか、
そのコンテンツの違いを比較してみましょう。


ブログ
一回ごとに読み切りのもの。短い時間で楽しめる気軽なコンテンツ。
その一回で完結して楽しめることが重要。


書籍
時間をかけてじっくり楽しむ比較的濃厚なコンテンツ。
一冊を通して作品を味わうため、ストーリーが重要。 




簡単にまとめると、
ネット作品と書籍の特徴はこのように異なります。

これを「お笑い」にたとえてみましょう。

テレビなどで芸人がいきなりネタを振られて披露するとき、
ほとんどの人が「一発ギャグ」をやりますよね。

一発ギャグは、
最も瞬間的に笑いを巻き起こすパワーをもった、
お笑いの表現です。

ただ、一瞬で爆笑を生みますが、
長い時間はなかなか耐えられません。

もし5分近く一発ギャグをやられたら、
さすがに大笑いすることはないでしょう。


5分という時間で笑いをとるなら、
一発ギャグをずっとやるより、
漫才のほうが面白いのはみなさんも実感としてわかるところだと思います。

少しずつ見ている人をネタの世界に引き込み、
一番の盛り上げどころで、
どっと笑わせる。

一度ネタの世界に引き込まれたら、
見ているほうは、
細かいボケやツッコミに何度も笑ってしまいます。


でも、さすがに10分を超えてくると、
よほどクオリティのいいものでない限り、
なかなか漫才も耐えられません。

そうなると今度は落語のほうが面白い。
一発ギャグや漫才ほどの破壊力はないけど、
しっかりとしたストーリーに基づいた情景描写をすることで、
見ている人に鮮明なイメージを喚起させ、
美しい「オチ」につなげていく。


それは笑いとともに「作品」としての楽しみもあり、
芸術作品を見た楽しみが生まれます。

さて、一発ギャグ、漫才、落語とみてきましたが、
日々小刻みに発信されるネット作品は、
お笑いでいう「一発ギャグ」のようなもので、
書籍というのは、
読みやすいものからじっくり読むものまでを含む、
「漫才」や「落語」のようなものだと言えるのです。


一発ギャグをただくり返して、
面白いコンテンツにはなかなかなりません。
もちろん、それで漫才としては成立しません。

あくまで一発ギャグをまとめたコンテンツでしかなく、
そこにまとまりが生まれないのは、
想像に難くないと思います。


でも、ちゃんと話のストーリーをつくって、
その所々に一発ギャグがあれば、
それはれっきとした「漫才」になります。

ネット作品の書籍化もこれと同じです。

多くの人が、
単発で発表している作品(一発ギャグ)を、
ほとんどそのまま掲載して作品にしているから、
書籍(漫才)という視点で読んだときに、
面白さを感じない、
そういったことが往々にして起きています。

それが、 
 

ネットで作品を読んでいたときはすごく面白かったのに、
書籍化されたものを読んだら、
それほどの感動はなかった。


と言われてしまう原因です。


ですから、
ネットコンテンツを書籍化する際には、
ネットから書籍に変換するための
「テーマ」と「ストーリー」を取り入れることが必要になってくるのです。

お笑いも書籍も、
そうやって見ると、奥が深いものですね。


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