三月も終わりに近づき、
出版社の就職活動もより熱を帯びてきました。

大手出版社のエントリーも始まりましたし、
各社、エントリーシートの締め切りもはじまっていることでしょう。

学生さんはここからが大変ですね。
いくつもの締め切りに追われて、
スケジューリングをしながら、
応募先も絞るところは絞りつつ、
対応していかなければなりません。

そんなわけで、
今回は少しだけ出版社のエントリーシートの話をしたいと思います。

エントリーシートの形式は各社さまざまで、
最初に学生に立ちはだかる関門になります。

いま振り返ると、
これって著者志望の方が持ってきてくれる
出版企画書にも似ているな、
と思います。

「本質」は同じですからね。

出版社のエントリーシートが通る倍率というのは、
いったいどのくらいでしょうか。
詳しくは「就活サイト」などを見てもらったほうが早いでしょうが、
うちの会社(中堅出版社)で4~5倍くらいでしたでしょうか。


採用の工程数にもよりますが、
採用試験が4次試験くらいまでしかないなら、
もっと倍率は高くなります。

たとえば3000人応募してれば、
500人くらいに絞って、
筆記試験を受けてもらって200人くらいに絞り、
そこから2~3回の試験で絞っていく、
ということが考えられます。

なので、まずエントリーシートでは、
ひろく3~10倍を生き残っていかなければいけないわけです。
そのために必要なことを書かなければいけません。


先ほど「出版企画書」に似ていると触れましたが、
ただ、学生と著者になりたい人で違うのは、
著者になりたいと思うような人は、
少なくとも人に伝えたい経験や実績がありますが、
当たり前のようですが、
学生は社会人経験や実績がないということです。

その分、学生がエントリーシートを書くほうが、
「暗中模索感」が出るのでしょう。
実際に就職活動を通して、
エントリーシートに何を書くのが正解なのか、
最後までよくわからなかった、という人がたくさんいます。

もちろん、その正解にたどり着くのは決して楽ではないですし、
答えもひとつとは限りません。

ただ、明らかに言えるのは、
エントリーシートは「運」のように語られることがありますが、
それは違うということです。

そう思ってしまうから、
効率の悪いエントリーシートをたくさん量産して、
運に頼った就職活動をする人がたくさんいるのです。

エントリーシートでは

①いかに減点をなくし
②いかに得点を積み重ねていくか

それが問われます。

ですから、対処方法とは、

→①減点をなくす書き方をする
→②得点を重ねられるところで、アピールをする

この二つに集約されていくわけです。
ちゃんとエントリーシートで書くべきことを意識していきましょう。

そのためにも、
エントリーシートについてまずは少しおさらいしてみましょう。
エントリーシートは大きく分けると
どのような項目に分類されるでしょうか。


1.名前、生年月日などの基本事項
2.経歴・学歴
3.受賞歴・資格
4.志望動機
5.志望職種
6.自己PR
7.学生時代に頑張ったこと


などなど。
これらはほかの業界でもよくある部分です。
しかし、出版業界においては、
エントリーする学生数が多い大手出版社ほど、
「追加要素」が課せられます。

大きく分けると


8.最近読んでよかった本・好きな本
9.課題(キャッチコピーを書け、など)
10.企画作成


この三つです。
追加要素と言いましたが、
エントリーシート通過の可否を握るという意味では、
もちろんこちらのほうがメインで、
最重要部分となってきます。

理由はかんたんです。
「振れ幅」が大きいからです。

8→9→10といくにしたがって、
それを書き上げる負担はどんどん大きくなっていきます。

ちゃんと向き合えば
相当な時間がかかります。

そこに対して時間をかけたか、かけていないか、
そういう「差」がはっきりと出るのです。

ありきたりな回答でよしとする人と、
そこを抜け出ようとする人と、
当然、そこにかけている時間や労力は異なります。

そういった部分を採用側は見ているわけです。

ですからここは、

①いかに減点をなくし、
②いかに得点を積み重ねていくか

という観点でいうと、
減点と加点の幅が最も大きい、
ハイリスクハイリターンともいえる部分です。


私自身、エントリーシートの採用・不採用を担当したことがありますが、
ここが面白い、光っていると思う人は、
とりあえず通そうと思います。

ここの出来は、それほど重要なわけです。

ただ、それは就活生のみなさんも、
重々承知していることだと思います。

一方、だからといって、
それ以外の「基本事項」が結果を左右しないわけではありません。

4.志望動機
5.志望職種
6.自己PR
7.学生時代に頑張ったこと

このあたりは、
しっかりと結果を左右してきます。

ここで「減点」をしてしまうと、
印象は一気に悪くなり、
勝負をする前に不採用となってしまうからです。

そう考えると、
エントリーシートというのは
大学入試にも似ているかもしれません。

とにかく面白ければ通過させたくなる企画作成などは、
「一芸入試」や「一科目受験」に似ています。

ここが飛びぬけていれば、
それだけで通過できる。
ただ、それだけに「通過」となるレベルは高くなります。

一方、基本的な項目でその人の人柄や個性を見ていく
志望動機や自己PRなどは、
「一般入試」「全科目受験」に似ています。

すべての項目をちゃんとこなして完成度を上げる。
減点を0にして、
着実に取れるポイントで加点を取っていくことで、
「通過」をたぐり寄せます。

大きく目を引くものがなかったとしても、
「平均ちょい上」を積み重ねれば、
確実に「通過」できる。
リスクはなく、一番着実な方法です。

大学入試を経験したことがある人であれば、
一科目受験にかけるより一般入試を目指したほうが、
確実性が上がるのはある程度理解できるかと思います。

就職活動もそれと同じで、
とくに出版社のエントリーシートはその両方の性質を
携えた形で構成されているため、
それを意識して対処することが肝心なのです。


では、どのように対処していけばいいのか。


まずは、「一科目受験」の要素を持つ、
三つの特有な要素に対して、
どのように臨めばいいのか、
私なりに少しアドバイスしていきたいと思います。

エントリーシートというのは、
そのとき通過すればそれでいい、
というものではありません。
そのあとの面接で、質問の土台となるものです。

なので、面接でどのような質問をされ、
どのようなコミュニケーションを取るかの、
方向性を「自ら操作できる」、最初で最後の機会でもあるわけです。

それを意識するだけでも、
エントリーシートの書き方、モチベーションは大きく変わってきます。
ちゃんと自分のアピールができている書き方をしていきましょう。

少なくとも、

「エントリーシートはたくさんこなさなきゃいけないから、
 とにかく空欄を埋めていけばいい」

という考えは絶対にしてはいけません。

当たり前ですが、
そんな考えの人が通過できるはずもなく、
それこそ時間のムダです。

自分ではあまり実感できないのが難しいところですが、
何千人という応募があるなかで、
手を抜いているエントリーシートというのは、
見れば速攻でわかるものです。
そんなエントリーシートは一瞬で不採用にします。

まずはしっかりと意図を持って書く。
それを意識したうえで、
まずは出版社特有の項目について
次回からちょっと考えていきましょう。

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