今日は少し、自分のことを振り返りたいと思います。
よろしければお付き合いくださいませ。


さて、
あなたには、「尊敬する人」はいるでしょうか。


人は誰しも、
尊敬する人や、目標にする人が一人くらいいるものです。


とくに経営者の方々とお話をさせていただくと、
「尊敬する人」が必ずいるように思います。


その人の「尊敬する人」を聞くと
どのようなことを考えているか、
何を目指しているか、
どのようなやり方でやろうとしているか、
そういったことが透けて見えてくるからです。


じつは私は、
そんな話を聞くたびに、
「みなさんすごいなぁ」と思っていました。


なぜなら、私には尊敬する人がいなかったからです。


「尊敬する人はいますか?」


と聞かれることがこれまで度々ありましたが、
家族を除けば、
今まで出会ってきた人のなかで
「尊敬」する人はいなかったからです。

「すごい」と思う人はたくさんいるものの、
「尊敬」というと、
なんだかしっくりこない。


そんな思いがあったのです。


でも二年前の今日、
自分が最も影響を受けていた人が誰なのか、
それがはっきりしました。


出会ったことのある人ではないですが、
自分は明らかにその人の影響を強く受けて、
「今の自分」があります。


思えば当たり前というか、
それ以外は考えられないくらい簡単なことだったんですが、
考えるまでは意外と意識することはありませんでした。




ちょっと話は変わりますが、
私はよくも悪くも、


「変わっている」とか、
「よくわからない」とか、
「熱い」とか、
「こだわりが強い」とか、


言われます。
また、ありがたいことに


「直感力がある」とか、
「クリエイティブが得意そう」


と言われることもときどきあります。
そんなときは、本当に、心の底からうれしくなります。


なぜなら、
私は「直感」「クリエイティブ」というものが、
「天敵」かっていうくらい大の苦手で、
今にいたるまでずっとコンプレックスを持っているからです。


苦手だからこそ、
ずーっと昔から直感やクリエイティブなことには
とにかく意識的にチャレンジしてきました。


そしていま思うことは、
直感やクリエイティブを生み出すのは、
「個性」であるということ。


自分なりの個性がないと、
自分らしい直感やクリエイティブって、
どう頑張っても出てこないんですよね。


小さい頃の私は、
みんなと違っていることが本当に恥ずかしくて、
大嫌いでした。


みんながいる中で、
なにか目立つことがあるとすぐに赤面してしまう、
そんな子どもでした。


きっと、
だから直感とかクリエイティブとかが嫌いだったし、
苦手だったんだと思います。


ずっと気づかなかったけれど、
その大切さを教えてくれたのが、
冒頭の話で触れた、
私が最も影響を受けた人でした。


私がずっと目を背けていた「個性」というものの存在を教えてくれ
(個性というものが存在する、ということすらわかりませんでした)
奥の奥から引っ張り上げてくれた存在です。


もし、この人を知ることがなかったら、
いまの自分は絶対にいないし、
やりたいことも何もない、本当になんの取り柄もない人間だったと思います。


その、尊敬する人というのが、
dev large(デブラージ)という人物です。


BUDDHA BRANDというヒップホップアーティストのMCの一人で、
数々の名曲を生み出したことで知られています。


彼はとくかに他とは一線を画する
独特のグルーブ感と歌詞が特徴的なアーティストでした。


ほかのアーティストの曲に
フィーチャリングで参加しようものなら、
すべてdev largeが空気を持っていってしまう、
というくらい強い個性がありました。


そして彼は
ただ単に個性があっただけではなく、
「個性があって何が悪い。おれはおれの道を突き進む」
ということをいつも歌詞に込めてラップしていたのです。


そのメッセージは
当時学生だった私にはとにかく強烈でした。


「ここまで自分を出していいんだ」
「そっか、変わってることって悪いことじゃなくて、すてきなことなんだ」


ということに気づかせてくれました。
そして「個性」というものを知ることになりました。


この気づき、
人生のなかで最も大きな転換点となった瞬間のひとつです。
(ほかにもいくつかありますが)


この人に出合い、この人の曲に出合ってから、
ぼくは「個性」という言葉を知って、
自分のなかの人と違う部分や、
これまでしてきた人と違う経験を、
受け入れられるようになりました。


自分が何者なのか、
自分は何をしたいのかを明確に考えるようになりました。


そして自分に変わっているところがあっても
まったく気にならなくなりました。
それどころか、変わっているところがあると、
うれしさすら覚えるようになりました。


ほかの人と違うこと、
それこそを「個性」や「自分らしさ」として、
肯定的にとらえられるようになって、
はじめて直感やクリエイティブをもっともっと表現できるようになりました。


それが確実に、
いまの仕事に結びついています。
生み出す作品のスパイスとして、
非常に役立っています。


まさに、自分の根幹、rootとなっています。


dev largeがラップで語りかける歌詞は、
それほどまでに破壊力のある
耳を侵す兵器だったのです。


とくに、自分らしさを肯定する言葉が、
何度も何度も胸を穿ってきたことは
若かりし頃の衝撃的かつ、忘れられない出来事です。


今日はなかでも、
「天運我に有り」という曲を聴いています。
その歌詞の一部を以下に紹介します。



「守りなし攻撃一筋」

「とかく異質はされる排除
だからブチ破る 前例の壁を
この世の習いにおいての常識
ひっくり返す 俺ら流に」

「譲らねえ 譲れねえ 譲るわけねえ
俺は俺 keep アクの強い個性
カッコイイ仕事しか興味ねえ
共鳴した奴 俺に前ならえ」


「人の目気にせず保つマイペース
人と同じじゃやれねぇ気性
我が身で開く運 自力本願 天運我に有り」


(以上、「天運我に有り」より抜粋) 




Buddha Brand - 天運我に有り(撃つ用意)



文字にすると
それほどのインパクトはないかもしれません。


でも、当時の私にとっては、
そのひと言ひと言がまるで、
雷の音かと思うくらいの大音でもって
響いてきました。


このなかでも特に、
「自力本願」
という言葉には衝撃を受けました。


その言葉の力強さにも。
その言葉を生み出すイマジネーションにも。


以後、私がずっと指針にしている言葉です。


かっこよさを追求して
灰汁が出るくらいの個性でいっぱいにしていく。
そんな姿にあこがれるようになりました。


だから、
やりたいことに対していつも貪欲になれました。
だから、
どんな困難があっても前を向けるようになりました。
だから、
途中、大怪我したって笑っていられるようになりました。



そうして、いまの自分ができました。
自分なりの「なにか」を生み出すことが、
少しずつできるようになったのです。


過去の自分がいまの自分を見ると、
「編集者」なんてクリエイティブな仕事をしているのが、
きっと信じられないことでしょうね。


まだまだ宇宙人やスーパ―サイヤ人のようにはなれませんが、
自分なりのやり方、自分らしさというのを、
これからもっともっと探求し、確立して、
すてきなものをたくさん残していけたらなあと思います。


今日の5月4日という日は、
自分にとって一年に一度、
「自分らしさ」を振り返られる一日です。


これからも、毎年、
この時期に自分自身を振り返っていければなと思います。


5月という皐月のなか、
空を駆けていくような気持ちよさのもとで、
毎年何を振り返り、何を考え、
自分の灰汁をこれからどう処理していくのか、
それすらも「個性」として楽しんでいきたいと思います。


RIP DL